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パリ条約・・三大原則をおさえておけば大丈夫!

最終更新日:2021年11月18日 18時26分

公開日:2018-05-10 11:29:01

「パリ条約」と私たちは気軽に呼びますが、フランスの首都パリで締結された条約がすべてその呼ばれますので、実際には何十個という「パリ条約」が存在します。

その中で、私たちに関係するパリ条約は、その名を「工業所有権の保護に関するパリ条約」といいます。
これは、1883年にパリにおいて、特許権、商標権等の工業所有権の保護を目的として「万国工業所有権保護同盟条約」として作成された条約です。

パリ条約の三大原則

特許権などの工業所有権の国際的保護を目的としているパリ条約は、各国法制度の違いを容認しています。 各国の制度を尊重し、その中で国際的保護を実現するために、三大原則が定められています。
  • 内国民待遇の原則
  • 優先権制度
  • 各国工業所有権独立の原則
この3つです。

内国民待遇の原則

「内国民待遇」というあまり使わない言葉ですので、何のことか良く分からないですよね。 要は「内国民=自分の国の国民」と同じ「待遇」を、条約を結んだ国の国民にもしてください、ということです。 同じ待遇を保証するわけですから、そのために特別な条件(自国に住所を持つなど)を付けることも、当たり前に禁止されています。

同じ待遇を保証するだけですので、他の国の国民に対し自国民よりも有利な待遇をしても、もちろん構いません。
「そんなことする国なんてあるのか?」と疑問に思うかもしれませんが、かつて韓国は自国民に認めていなかった「物質特許」をアメリカ合衆国民に認めていたことがあります。

しかし、この原則を厳格に適用しすぎると不具合がある場合もありますので、そこはちゃんと例外も規定されています。
たとえば日本の特許法では、日本に住んでいない方が手続をする場合には、日本国内の代理人を立ててください、と規定されています。
手続きのたびに国際郵便、では困ってしまいますよね。

優先権制度

いずれかの国で出願をした方には、特許と実用新案については12か月、意匠と商標については6か月の間、出願などに関する「優先権」を与えるというものです。 この優先権のある期間中に他の国に対して同じ内容の出願を行った場合には、最初の出願日に出願されたものとしますよ、という内容です。

同時にいろんな国への出願書類を用意しようとしたら、それだけで大変な時間がかかってしまいます。
特許出願の書類は専門技術文章を含みますので、外国語にしっかりと翻訳するのはとても大変です。

優先権の有効期間内に翻訳すればいい、と考えれば余裕が生まれますね。

各国工業所有権独立の原則

  • 各国特許独立の原則
  • 各国商標保護独立の原則
この2つの原則によって、「特許」と「商標」だけは、各国において独立して存在することを原則としています。 実用新案権や意匠権、サービスマークなど他の工業所有権についてまでは、各国独立であることは義務づけられてはいません。

この「各国独立」というのは、それぞれの国で独立して権利が存在している、ということです。
独立した権利ということですから、どこかの国で消滅したり無効にされたりしても、他の国の権利に影響することはありません。

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